第163話臆病者、時間になっても声を上げられなかった

「おじいちゃん、私の味方をしてよ!」

ベーダはメイソンの姿を見つけるなり、瞬時に態度を切り替えた。

メイソンと取り巻きが階下へ降りてくると、彼女はさっとメイソンの胸に飛び込み、いかにも可哀想な顔を作った。頬の平手打ちの痕がよく見える角度をわざと見せる。「おじいちゃんが来てくれなかったら、エミリーにボコボコにされてたわ。こんな扱い、生まれて初めてよ」

「何があった」

メイソンの視線が、指の跡まで残るベーダの頬に落ちた。即断はしないものの、エミリーへ向けた目はみるみる冷えきっていく。

「何があったって、見れば分かるでしょ、おじいちゃん! 顔を見てよ! この女、うちに初めて来たくせに、私が...

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